今回は同じ贈与でも借金付きの贈与についてお話します。
1.負担付き贈与とは
贈与は通常一方の者が財産をもらうだけなのに対して、財産をもらう代わりに
ある一定の義務も負担しなければならない贈与契約を負担付き贈与と言います。
例えば収益物件をもらう代わりにその物件の建築資金である借入金を贈与者から
引き継いで受贈者が返済していくといった感じです。
要は引き継いだ借入金の額で収益物件を贈与者から購入したのと同じ
効果がある取引なのです。
2.負担付き贈与があった場合の課税
負担付き贈与で財産をもらった場合には、その財産の価額から引き継いだ
負担額を控除した残額に対して贈与税がかかります。
ただ注意しなければならないのは、その財産の評価額が贈与時の相続税評価額
ではなく取引価額、いわゆる時価評価になるのです。
従って評価減がないということに留意してください。
なので負担付き贈与をする場合には贈与財産の贈与時の取引価額と同程度の借入金
がないと贈与税がかかるので意味がなくなります。
3.所得税における注意点
負担付き贈与をした場合、贈与者は引き継いでもらった債務額でその
贈与財産を譲渡したことになるので、その時点における財産の取引価額
よりも債務残高の方が多い場合はその差額が譲渡益となり所得税がかかります。
また同族会社へ負担付き贈与をした場合はとく要注意で、引き継いだ債務額が
財産の取引価額に満たない場合には時価で取得したものとみなされ
その差額に対して法人税がかかり、一方で会社が負担する
債務額がその財産の取引価額の2分の1に満たない場合には
贈与した同族関係者である個人は時価で譲渡したもとみなされ所得税がかかります
ので十分気を付ける必要があります。
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