評価の手順における株主判定の結果、原則的評価方式ではなく特例的評価方式とされた場合は
配当還元方式によって評価会社の株を評価します。
今回は配当還元方式による評価について詳しく見ていきたいと思います。
配当還元方式とは
ご承知のように株主判定で原則的評価方式を使わないということは、その株主の会社に対する
支配権が無いに等しく、そのような株主にとって評価会社の株を所有することは会社からの配当金
を期待する以外に価値はないことになります。
配当還元方式は金融市場の資本還元率を10%として2年間の配当実績の平均額を基に
少数株主の1株当たりの評価額を計算する方法です。
具体的には前2年間(前期と前々期)の配当金額のうち臨時的な配当を除いた金額の2年間の平均額
を出します。そして1株50円と仮定し資本金等の額を50円で割り発行済株式数を計算します。
配当金の年間平均額をこの発行済株式数で割り1株当たりの年平均配当額と、資本金等の額を実際の
発行済株式数で割った1株当たりの資本金等の額を計算します。
最後に1株当たりの年平均配当金額を10%で割ったものに先ほどの1株当たりの資本金等の額を
50円で割った金額を乗じて評価額が算出されます。
評価会社が無配当や低配当の会社である場合には、1株50円とした場合の1株当たりの配当金額が
2円50銭未満の時は2円50銭の配当があったものとして計算するのも配当還元方式の特徴です。
実際には配当還元方式による評価額が類似業種比準方式や純資産価額方式によった場合に比べて高く
なることはまずないと考えられますが、もしも配当還元方式による評価額の方が高くなった場合は特例
として原則的評価方式によって評価をします。
通常ではあり得ないような高額の配当を行っている場合には適正な配当還元価額が算定されない
或いは評価会社の経営状況が悪化し続けており、財務内容が債務超過である場合など原則的評価方式に
よる評価額が配当還元方式による評価額を下回る恐れがあるケースを想定し、これを回避するための
役割をもつ特例となっています。
次回からは実際に評価額を引き下げるための方法について見ていきたいと思います。
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