前回に引き続き自社株の評価を引き下げる対策について考えていきたいと思います。
中小企業投資育成会社による対策
中小企業投資育成会社(以下「投資育成会社」といいます)から出資を受けることで株主構成
や会社経営を安定させ、株価の評価も引き下げるメリットを享受できます。
投資育成会社とは中小企業投資育成会社法に基づいて投資業務を実施する公的機関で東京・名古屋
・大阪の各エリアに設けられており中小企業の長期保有株主としてその成長を支える機関です。
しかしどんな会社でも出資を受けられるわけではなく、条件として①原則資本金3億円以下
の会社であること ②継続的に利益が出ており安定した配当が期待できること
③独創的な技術やサービスを持ち将来上場を目指している会社、といった企業が
対象になり投資申請をした後に審査を受けることになります。
投資育成会社は安定株主として原則的に会社側の経営方針に賛同するため、株主が分散している株主
構成の会社にあっては経営者一族の会社運営にプラスとなり、後継者にとっても安定株主となります。
また第三者割り当てにより株式を発行して引き受ける形となるのですが、その際の株価は発行会社の
利益予想や配当性向を基に投資育成会社が判断します。
実際には相続税評価額よりも低くなることが多く、引き受け後の発行済株式数によれば1株当たりの
評価額はかなり引き下げられることになります。
同時に資金面においても銀行借り入れとは異なり出資なので長期的な資金確保が可能となりますし
何より公的機関からの出資となると中小企業にとっては対外的な信用度はかなり増すことになる
でしょう。
このことで金融機関からも資金調達を受けやすくなりますし、投資育成会社からのアドバイスも受けられ
るので会社の健全経営を強化し将来の上場を目指すベンチャー経営者にとっては大きなメリットとなる
でしょう。
ただし毎年継続して配当を期待されることや会社法に則った会社運営が求められること、そして将来投資
育成会社の持ち株を全てオーナー一族が買い戻すことは出来ませんのでこれらの点には留意が必要です。
次回は引き続き自社株の評価引き下げについてさらに検討していきます。
コメントする