国税納付の猶予

 

 

今回も引き続き国税の申告・納税期限について新型コロナウイルス感染症の

 

影響を受ける事業者への対策についてお話します。

 

 

 

 

1.現在の納付猶予制度

 

4月16日まで一括延長された申告所得税・贈与税・個人事業者の消費税以外

 

の国税は今回一括延長の対象にはなっていませんので従来通りの期限となります。

 

しかし地震等の自然災害や火災等の人為的な災害、申告等をする方の重傷病など

 

のやむを得ない理由により申告や納付等が期限までに行うことが困難な場合には

 

個別に税務署へ申請をすることによって期限が延長される制度があります。

 

 

これは現時点で適用を受けられる制度として以前からあったもので、その中の

 

税金納付の猶予には「換価の猶予」「納税の猶予」があります。

 

 

換価の猶予とは差押えや差押えられている資産の売却等が猶予されるもので

 

国税を一時に納付することにより事業の継続や生活の維持を困難にする恐れが

 

あると認められる場合、他に国税の滞納が無い場合、納税について誠実な意思

 

があると認められる場合には、原則として1年間それが猶予されその間に分割

 

で税金支払うというものです。

 

 

 

一方で納税の猶予とは災害により財産に相当な損失が生じた場合や本人又は家族

 

が病気になった場合、事業の廃止や休止をした場合等に原則として1年間納税を

 

猶予するものです。

 

これらの各猶予制度は法人・個人を問わず対象となり、延滞税の全部または一部の

 

免除もあります。

 

原則として担保の提供が必要ですが、猶予される金額によっては無担保でも猶予さ

 

れる場合がありますのでまずは所轄の税務署へ相談に行くことをおすすめします。

 

 

 

2.納税猶予の特例(案)

 

上記で説明しました「納税の猶予」制度について、新型コロナウイルス関連の

 

対策として財務省が4月7日付で公表した特例についてお話します。

 

緊急事態宣言も発令されたことで、これまでにも増して日常生活や経済活動には

 

「自粛」が求めれていますが、各自粛要請や入国制限措置など新型コロナウイルス

 

感染拡大防止のための措置によって多くの事業者の収入が急減している昨今の状況

 

を踏まえて、国税の納付を無担保かつ延滞税なしで1年間猶予する

 

という「納税猶予の特例」が発表されました。

 

内容としては新型コロナウイルスの影響により、令和2年2月以降の任意の期間

 

(1カ月以上)において事業等にかかる収入が前年の同期に比べて概ね20%以上

 

減少し、なおかつ一時に納税を行うことが困難である方(法人・個人を問いません)

 

が対象になり、納税猶予特例の対象になる税金は一部の印紙税等を除き基本的には

 

令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する所得税・法人税・

 

消費税等すべての税目が対象になります。

 

そしてこれらのうち既に納期限が過ぎている未納の国税や他の猶予を受けているもの

 

もこの特例の対象となります。

 

 

ただし、この特例制度は今日現在まだ関係法令が国会で成立して

 

おりませんので、成立後に施行され実際に適用されることとなりますので留意が

 

必要です。

 

この制度の詳細や施行の時期については財務省や国税庁のホームページにて確認できます。