さてこれまで中小会社の自社株について評価を行う場合の手順をご説明してきました。

 

株主の判定によって原則的評価方式と特例的評価方式に分かれ、その後に類似業種比準

 

方式等の具体的な評価方法を会社の規模判定によって決めるという流れです。

 

今回はそれぞれの具体的な評価方法の中身について見ていきたいと思います。

 

 

 

 

 

1.類似業種比準方式

 

会社の規模判定の結果、大会社は類似業種比準方式により、中外会社は類似業種比準方式

 

と純資産価額方式との併用方式により、小会社は純資産価額方式(類似業種比準方式との

 

併用も認められています)によるのですが、要はどの会社の規模の評価方式であっても

 

類似業種比準方式が含まれているため、会社の規模にかかわらず類似業種比準価額は検討

 

が必要になります。

 

類似業種比準方式は評価会社の事業内容と類似する上場会社の各業種について定められて

 

いる株価、1株当たり(資本金等の額50円当たり)の配当金額や年利益金額及び純資産価額

 

と、評価会社におけるこれらの比較要素とをそれぞれ比較し、その格差率(比準割合)をその

 

業種の上場株式の株価に乗じて、さらに会社規模別の斟酌割合を掛けて評価額を計算します。

 

ここでいう類似する業種とは、国税庁が上場会社について総務省統計局作成の日本標準産業分類

 

の分類項目に基づいて大分類16業種、中分類57業種、小分類40業種に区分しているものです。

 

また計算の基になる上場会社の株価は、株式を取得等した時期(以下「課税時期」といいます)の

 

属する月を含む過去3か月分の月中平均株価、前年平均株価及び課税時期の属する月以前2年間の

 

平均株価のうち最も低い株価を使います。

 

業種によっては小分類まで区分されているものもあるので、その場合には小分類と中分類の比較要素

 

で計算した株価の有利な方を選択でき、中分類を大分類に区分されている場合にはそれぞれ計算した

 

比準価額のうち有利な株価を選択することになります。

 

類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式においては、それぞれの株価をどの程度類似業種比準

 

価額を反映させるのかという割合があり、これを「Lの割合」と言います。

 

中会社のうち規模によってLの割合が「0.9」「0.75」「0.6」の3つに区分され、これを

 

類似業種比準価額に乗じ、残りの割合を純資産価額に乗ずることになるのです。

 

ただし小会社の場合で併用方式を使う時はLの割合は「0.5」となります。

 

 

 

 

 

 

2.純資産価額方式

 

 

純資産価額方式とは評価会社の課税時期における資産を財産評価通達により時価に評価しなお

 

した価額の合計額から、負債の合計額を控除した残額がプラスの場合に法人税相当額を控除して

 

課税時期における発行済株式数で割って計算する方法をいいます。

 

従って課税時期が決算直後でない場合は原則として仮決算をしなければなりませんが、前期末から

 

課税時期までに著しく資産や負債の増減が無い場合で、評価額の計算において影響がないと認めら

 

れる時は前期末の決算における資産の額を課税時期における財産評価通達により評価しなおした

 

金額を基に計算することも可能です。