皆さんこんにちは。茨木市で税理士事務所をしております、税理士の武田信央です。

 

 

今日は会社にとって節税にもなり、金融機関の評価アップにもつながるお話です。

 

 

 

1.貸倒引当金とは

 

 

資本金が1億円以下の中小企業や、銀行、保険会社、リース事業を行っている会社は決算時に貸倒引当金という経費を計上することが

 

出来ます。

 

これは取引先に対して売掛金などの債権を有している場合に、将来の貸し倒れを見越して期末債権残高の一部を損金経理出来るという

 

ものです。

 

この経費に計上できる金額の算出方法には2種類の方法があり、民事再生法による再生手続開始の申立てがあったなど、法的な事実を

 

原因としてその債権の危険度を個別的に評価して金額を算定する方法と、期末対象債権を一括し、法律で認められた業種別の繰入率を

 

乗じて金額を算定する方法です。

 

 

今回は後者の方法につて説明したいと思います。これは資本金が1億円以下の普通法人(大法人の完全子会社等を除く)や公益法人等

 

を対象とする方法で、対象になる債権は売掛金や貸付金、受取手形、未収の譲渡代金や未収の手数料、未収家賃等で、これらの債権

 

から同じ取引先に対して有する買掛金や借入金等の債務がある場合の、実質的に債権とは見られないものの額を控除した残高に

 

法定繰入率を乗じます。

 

例えば卸売業や小売業は10/1000、製造業は8/1000 といった具合です。

 

 

 

2.支出伴わずに経費を計上

 

 

お分かりのとおり、この貸倒引当金は帳簿上の処理だけで経費が計上できるもので、お金の支出を伴いません。よって決算期末が

 

過ぎても関係なく損金を発生させることが出来るのです。ただし経費に計上した金額は翌事業年度に益金として戻し入れなければ

 

ならないので長い目で見ると差し引き同じというケースも出てくるのですが、今までのこの貸倒引当金制度を使っていない会社は

 

決算時に利益がいつもより多いと感じればこれを最初に計上する年度は節税になりますよね。

 

債権残高が多い会社はなおさらです。

 

 

翌事業年度で益金に戻し入れる時も、前期の計上額をそのまま益金に入れるのではなく、一定の要件もと差額のみを今期の

 

貸倒引当金に計上する差額補充法を採用することで、営業利益の減少を防ぐことにもつながります。

 

 

あと節税とは関係ありませんが、なるべくこの貸倒引当金は毎期計上しておけば、金融機関の決算書に対する評価が上がるので

 

銀行からお金を借りる際の金利レートが有利になることがあります。

 

財務諸表の対外的アピールも考えて、出来れば常に計上しているほうが賢明だと思います。