今回は将来の相続税申告における納税資金について、生命保険を活用した

 

納税資金対策をご説明します。

 

 

 

 

1.保険金受取人を配偶者以外に

 

 

相続税法上配偶者については税の優遇措置があります。長年夫婦で築いて

 

きた財産をその貢献者である配偶者が取得すること、残された配偶者のへの

 

生活保障、次の相続までが比較的近いことなどの理由から「配偶者控除」

 

いうものが設けられており、配偶者が相続した財産の額が法定相続分まで、又は

 

1億6千万円までであれば相続税がかからないこととされています。

 

 

ここで問題となるのが、例えば子供は父親の相続時(一次相続)に相続税を払い

 

父から財産を相続した母親がその後亡くなった時(二次相続)にまた相続税を払う

 

可能性が出てきます。なので子供としては両方の相続について納税資金の対策を

 

考えておかなければならないのです。

 

 

 

そこで前回お話した生命保険金の非課税制度を賢く使って納税資金を作ります。

 

ある程度以上の相続税がかかるご家庭ならば、配偶者はもともと配偶者控除で

 

税金がかからずに済むので、特に事情がある場合を除き、わざわざ配偶者を受取人

 

にしなくても受取人を子供にしておけば非課税枠内であれば無税で子供が納税資金

 

を手に入れることが出来ます

 

 

子供が相続税を払わなければならないことが予想される場合に、相続税の納税資金

 

に重点を置いて考えれば有効な方法でしょう。

 

 

 

 

2.相続税と所得税の税率差を利用する

 

 

生命保険金の非課税制度はたしかに使い方次第では有利な制度ではある

 

のですが、多額の相続財産が有る場合には税率も累進で高税率になります。

 

ちなみに相続税の最高税率は55%であり、生命保険金でさえ非課税枠

 

を超えれば多額の相続税がかかることになるのです。

 

 

前回のお話で、保険契約者・被保険者・保険金受取人が誰かによって課税される

 

税金の種類が変わるとお伝えしましたが、相続税の納税資金を作るもう一つの方法

 

として、受け取った保険金を子供の一時所得(所得税のかかる所得の一種)となる

 

ようにすることです。

 

 

一時所得は受け取った保険金から支払った保険料を控除し、さらに50万円の

 

特別控除を差し引いた残額を2分の1にして計算するので、所得税と住民税を

 

足しても最高で27.5%の税率で課税されることになります。

 

相続税の最高税率55%と比べるとはるかに低いですね。

 

 

 

 

 

3.具体的な資金対策計画

 

 

ポイントは保険金の受取人自身が保険料を払うことなんですが、具体的

 

には暦年贈与を利用して保険料に相当する現金を毎年子供に贈与します。

 

 

この時注意することは、将来子供が支払うことになるであろう相続税額を保障額

 

(所得税等の支払いも加味する)とする終身保険を契約することです。

 

 

定期保険にすれば相続開始前に満期となった場合に意味が無いからです。

 

そしてこの方法であれば保険料相当額の生前贈与によって親の財産を減らして

 

いくことも出来るのです。

 

 

ただもう一つ注意しなければならない重要な点があり、それは保険料相当額の贈与

 

が本当に行われたのかどうかを立証可能な状態にしておく

 

ことです。

 

贈与契約書をその都度結び、子供が実際に使用している口座へ振り込むことや

 

毎年基礎控除を超える贈与を行い贈与税の申告を行うなど、この点については

 

とくに慎重をきすべきです。

 

課税当局から生前贈与を否認されるケースもありますので注意が必要です。

 

 

また所得税や住民税は累進税率となっており、所得が高くなるほど税率も高く

 

なりますので、その点もよく理解しておくことです。

 

保険契約についても現在沢山の保険商品があり、どの保険商品が最も効果がある

 

のか、専門家とよく検討したうえで選びたいものです。