今回はこれまで見てきた原則的評価方式や特例的評価方式による評価額を事前に対策をする

 

ことによって引き下げていく検討をしてみたいと思います。

 

原則的評価方式である類似業種比準価額を下げる方法について考えます。

 

 

 

 

 

1.類似業種比準価額を下げる方法

 

そもそも類似業種比準価額が高くなる理由は類似業種の株価が高いか、評価会社の一株当たりの

 

配当金額・利益金額・純資産価額が高いか、或いは比準要素である類似業種の一株当たりの配当

 

金額・利益金額・純資産価額が低いかのいずれかが考えられます。

 

従って評価会社の配当金額・利益金額・純資産価額の3要素をどのように下げていくかという点と

 

類似業種株価が高い場合に複数の事業を兼業しているならば有利な業種へ取引金額のウエイトを移

 

していくことで業種区分の変更を模索していくことがポイントになります。

 

 

 

 

2.配当金額対策

 

高額な配当を出し続けると株価が高くなる原因となるので配当金は低めにしておいた方が評価をする

 

上では有利です。

 

ただ無配当にしてしまうと赤字が出た時に利益金額が無くなり比準3要素のうち2要素が0になるた

 

め類似業種比準価方式が使えずに不利になる場合があります

 

従って通常の配当金は低く抑えておき、その代わりに記念配当などの臨時配当を出すことで比準

 

要素である配当金額に影響を及ぼさないようにしておきます。

 

 

 

 

 

 

 

3.利益金額・純資産価額対策

 

評価会社の利益金額が類似業種比準価額の計算に与える影響は大きく、一株当たりの利益金額のみ

 

3倍してから他の比準要素と平均させるので高収益をあげている中小企業は特にこの点を重視すべ

 

きでしょう。

 

ただ業績が良いために毎期出ている会社の利益を減らしていく事はなかなか容易ではありませんが

 

出来る範囲で財務内容を見直していくなど時間をかけて調査や準備をする対策はあります。

 

 

例えば特別償却の対象になる資産を購入して積極的な先行投資を行うこと、不良債権がないか検討し

 

貸倒として償却が出来るように調査準備をしていく、高収益である割に役員報酬が低い会社であれば

 

次年度期首からの役員報酬増額を検討する、稼働していない固定資産や不要な資産を売却して売却損

 

を計上、或いは除却による除却損を計上する、不良在庫を洗い出し期末までに処分し損失を計上する

 

経営者の世代交代が可能な状況ならば役員退職金規定を整備したうえで代表取締役の退職に際し退職金

 

を支払う、特に創業者であれば相応の功績加算が考えられるので効果が大きいでしょう。

 

 

いずれにしても利益金額の引き下げには時間を要するため計画的に集中して行うことがポイントです。

 

次回は評価以外の点について対策を考えてみたいと思います。