欠損金の繰戻し還付
今回からは新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者への対策で
既存の税制について採られた特別な措置についてお話します。
第一回目は「欠損金の繰戻し還付」についてですが、法人の欠損金の取り扱い
について少しおさらいをしておきます。
欠損金とはその名のとおり「損」のことで、その事業年度において企業が出した
赤字の事です。
そして欠損金を出した事業年度において青色申告書である確定申告書
を提出し、その後も毎期確定申告書を提出していれば翌期以降10年間
(平成30年4月1日以降に開始された事業年度において生じた欠損金)はその
欠損金を繰り越すことが出来るので、その間であれば利益が生じた年度でも繰り
越された欠損金と相殺できるという制度です。これを「欠損金の繰越控除」と
いいます。
一方で、欠損金が生じた事業年度(今期)の前事業年度(前期)において利益が
生じ、法人税を納付していた場合に、今期に出た欠損金を翌期へ繰り越さずに前期
に出た利益と相殺する、すなわち過去にさかのぼって欠損金と利益とを相殺し
過去に納した法人税を還付してもらうことが出来ます。
これを「欠損金の繰戻し還付」といいます。
欠損金の繰戻し還付は青色申告書である確定申告書を提出する事業年度において
生じた欠損金をその事業年度の開始の日前1年以内開始した事業年度に繰り戻して
法人税の還付請求をおこなうもので、解散事業年度の欠損金や中小企業者の事業年
度において生じた欠損金はこの制度の適用が有るのですが、それ以外は現在適用が停止
されています。
ここでいう中小企業者とは資本金が1億円以下で大企業の支配下におかれていない
法人や公益法人、協同組合等をいうのですが、この資本金1億円以下という基準が
コロナウイルス関連対策で1億円超~10億円以下の中堅企業にまで適用対象範囲
が拡大されることになりました。
また対象となる欠損金は令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了
する事業年度に生じた欠損金となります。
ただしこの特例は関係法案が国会で成立することが前提になります
ので国税庁のホームページ等で今後確認が必要となります。
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