今日は母の日ですね。

 

新型コロナウイルスの影響で飲食店が営業を自粛しているのでなかなか食事にも

 

行けず、今夜もお家ごはんの方も多いでしょう。

 

こんな時こそお気に入りの飲食店が料理のデリバリーやケータリングをしてくれる

 

と嬉しいですが、現実的にはまだ限られているようです。

 

 

 

今日は私のお気に入りのお店をご紹介しながら、流行るお店の特徴や飲食店がかか

 

える構造的なリスクなどについて話してみたいと思います。

 

 

 

京都の中京区、二条城から5分ほど歩いたところにある「グリルフレンチ」という

 

お店なんですが、京都では知らない人はいないのではと思ってしまうくらいの人気

 

店です。

 

平日・土日祝を問わず、予約が無ければまず入れないお店です。

 

お店の名前からして「フレンチのお店」とイメージしがちですが、そうではなく

 

いわゆる「洋食屋さん」で、メニューにはサラダ、スープはもちろん魚介料理や

 

トンカツ、ステーキ、カキフライ、シチューなどなど親しみやすい料理が沢山あり

 

ます。

 

またワインやシャンパンも結構あるのでワイン好きにも嬉しい銘柄が有ったりします。

 

 

このお店の造りは入り口から階段で2階へ上がり、カウンターメインで12人くらい

 

の座席数で、店の奥に4人がけのテーブル席がひとつあります。

 

階には数人で食事会の出来るようなスペースがありますが、基本的には2階で食事

 

をします。

 

なので2階のスペースだけ見るとけっして広いお店でもないのですがなぜかく

 

つろげます。

 

まず店内に入った時の視覚に飛び込む長いカウンターが店の奥まですっきり伸びて

 

いて、明るい壁の色調も手伝って余裕のある洗練された空間に感じさせます。

 

そしてカウンターの向こうはすべて厨房で、お客との間にあるシルバーの間仕切

 

りが低く、厨房の中には清潔な白のコックコートを着たシェフが5名ほど調理を

 

されています。

 

 

お店が人気なのはお料理がどれを頂いても美味しいということは勿論なのですが

 

訪問するたびに思う“見せ方”がとても上手いということです。

 

カウンターに座ってグラスを傾けながら料理が出てくるまでの時間をどう過ごして

 

もらうかは飲食店にとってとても大切なポイントだと思います。

 

料理は目で味わうというくらい、シェフや板前さんが料理を作るところを客に見せ

 

るのはとても刺激的です。店の奥の方でチラッと見えるのではなく、故意に見せる

 

という演出をどのくらい効果的に出来るかが大事で、このお店は厨房の調理器具を

 

ピカピカに磨きシルバーのフライヤーが輝いているさまや、注文されたステーキを

 

目の前で肉の塊から長い洋刀で切り落としてくパフォーマンスを見せ、さらに鉄板

 

で肉や魚介を焼く状態やその音を感じさせるという事を常に行っているのが料理を

 

待つ客にとってはとても刺激的に映るのだと思います。

 

 

新型コロナウイルスが拡大し始めてから、飲食店は真っ先にダメージを受けました。

 

とくに客席数の多い店は覿面です。

 

 

床面積が広い大きな飲食店は人気があれば売上高は上がりやすく、それなりの単価が

 

維持できれば回転率もそれほど神経質になる必要はないと思いますが、今回の様な

 

緊急事態下では売上がなくなり多額の人件費と家賃の支払いだけが残るというジェッ

 

トコースターのような状態になるリスクがあります。

 

 

では床面積が極端に小さな店舗はどうかというと、コロナ以前に平時の営業が問題

 

です。

 

なにが問題なのかという回転率です。

 

夜の営業でお客が5人しか入れないのに単価2500円で19時から2時間程度

 

座っておられたらどうでしょうか。仕入は経費を差し引いてどれくらい生活費が

 

取れるか考えると少しきついかもしれません。

 

場所にもよりますが床面積が小さければ基本的には家賃も低くなりますが売上

 

も上がらないというのが問題になります。

 

そこで少し高級志向のお客をターゲットに絞り客単価を5000円から10000円

 

くらいに固定し、あの魚はあの店でしか食べられないなど、食に通じた客の心をくす

 

ぐるような戦略でいく方法。

 

 

逆に安いメニュー専門の立ち飲みスタイルなどにして完全に回転率だけを上げていく

 

モデルにするか。

 

ただし安いメニューで回転率を上げるにはある程度コンセプトをはっきりさせるべき

 

ではないかと思います。

 

これはランチでも夜でも同じなのですが、たとえばランチであれば「天丼」しかやら

 

ないとか、夜ならば「串揚げ」しかしないとか、いわゆるお客の方が目的を絞って

 

来店し、自分の目的が達成されたならさっさと店を出るというモデルでお客にとって

 

もインパクトを受けやすい。

 

その場合店の外から見た時に誰でもその店のやっていることが100%分かるように

 

しておくことが条件だと思います。

 

沢山の種類をメニューに載せいているお店をよく見ますが、何屋さんなのかわから

 

なくなり、店の「売り」もぶれて、床面積の小さな店舗では食品ロスも含めリスク

 

になる確率は高いのではないでしょうか。

 

 

 

大手のチェーン店を除き、一般的な飲食店であれば ①きれいな厨房が見渡せ職人

 

さんの腕の良さを直接感じられること ②外から見てお店のコンセプトが誰にでも

 

分ること ③お客さんがシェフや板前さんと楽しく話せること ④店の看板やのれん

 

の色が食欲を減退させる色でないこと(青や緑は基本的にNGかも) ⑤入り口や店

 

内が物でごちゃごちゃしていないこと 

 

といった事がクリアされていれば、あとは顧客を誰にするのか、顧客はどこにいるの

 

かを掘り下げていけば方向性を間違える危険は回避できるのではないでしょうか。